スポンサードリンク
ハイチ大地震 国際災害支援に教訓 リスク減らす事前活動も必要
ハイチは、世界で最も自然災害の多い国の一つだ。毎年、多くの住民が、ハリケーン、洪水、地滑り、干魃(かんばつ)や地震で被害を受けている。同国は相次いで4つのハリケーンが襲った2008年の被害から立ち直ろうとしている矢先だった。
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/100123/mcb1001230505002-n2.htm
政治も不安定だ。ハイチは何十年もの間、汚職、無法行為、紛争に悩まされてきた。対立するギャング団や政治集団同士の暴力抗争は珍しくなく、開発努力の重大な障害になっている。
ハイチ経済は国際援助と輸入に依存しており、特に脆弱(ぜいじゃく)だ。国民経済が悪化するなか、家計の4分の3は海外送金に頼っている。同国は最近数十年、国際援助と開発プログラムに大きく依存するようになり、財政的に自立する能力を損なっている。
◆将来のモデルケース
ハイチ大地震は将来の国際緊急災害支援に新たな課題を提起している。
第1に、近代史上初めて、自然災害によって国家全体の社会・政治構造が完全に崩壊した。ハイチ復興には、すべてを作り直す必要がある。建物やインフラの建設、法の支配の確立、新しい政治権威や政治制度の導入、景気刺激策、国際貿易などだ。小さな島国や災害に襲われやすい首都を持つ中央集権国家の中には、ハイチと同様のリスクを抱える国もある。
第2に、国際災害支援組織は都市部での活動経験が乏しい。ハイチ大地震では、人口約200万人の首都ポルトープランスで、被害が最も大きかった。都市部での災害は、被害状況の査定、物資輸送活動、大規模な活動の管理など、さまざまな課題がある。世界では都市化が進行しており、ハイチでの救援活動は貴重な経験になるだろう。国際社会は、カトマンズ(ネパール)、ダッカ(バングラデシュ)、イスラマバード(パキスタン)など、発展途上国の大都市で災害に備える必要がある。
第3に、ハイチでは人口に比して被害が非常に大きかった。都市化、人口増大、地球温暖化などにより、今後、自然災害の被害者数は増えそうだ。
第4に、04年6月からハイチで平和維持活動(PKO)に従事していたMINUSTAH本部が倒壊し、即座に災害に対応できなかった。極めて脆弱な地域に施設を持つ援助機関も多く、大規模災害時に、同様の事態に陥る可能性が高い。
◇
≪結論≫
ハイチ大地震により、破綻(はたん)国家の脆弱性に対処するうえで、国際社会が抱えるいくつかの弱点が露呈した。災害発生後の緊急支援だけでなく、災害への抵抗力を高める広範な地域活動など、災害リスクを減らす活動も必要だ。ハイチでの経験は、とくに都市化が進んでおり、かつ頻繁に自然災害に襲われる地域の危機管理計画に、モデルケースを提供することになりそうだ。(オックスフォード・アナリティカ)
スポンサードリンク